これまでお話してきた腸のお話。
このテーマの最初の方でも話しましたが、大腸の機能低下が起こる原因として最も重要なポイントと思われるのが、
「繊維質摂取量の減少」
と
「精製炭水化物摂取量の増加」
です。
大腸の機能低下で起こる症状には、一般的には 下痢 や 便秘 など、また現代でよくみられるようになった 大腸炎 などがあげられます。また日本人にも近年大腸がんになる人が増え、50年前に比べて6〜7倍 とも言われています。
さて、今日はこれらの大腸機能低下のスタートに起こってきやすい「腸内ガス」についてお話しましょう。 腸のガスによって起こる腹部膨満感は、ほおっておかずに原因を見つけ、しっかりと改善してあげることがとても大切です。
一般的な腸内ガスの原因
長い期間、腸内にガスが多すぎる状態は、良い状態とはいえません。 それは多くの不快感の原因となるとともに、腸管内でガスが多いとストレス応答のように交感神経システムの反応を引き起こします。
さらには、横行結腸などにガスが多く溜まると胃を圧迫して胃内容物の流出を滞らせるため、胃炎 や 逆流性食道炎 の症状と同様の 悪心(むかつき)や 食欲不振 、 胸やけ などを起こしてしまいます。
私の臨床でも、慢性便秘症で胸やけなどの症状があって、逆流性食道炎になっている人は多々います。
もちろん少量のガスが腸管内にあるのは正常なのですが、大量のガスがあるのは正常ではなく、消化不良やアレルギーが問題になっていることも多く、そこには食事内容や食べ方の悪さも大きく関連しているのですね。
最も一般的な腸内ガスの原因をお話しましょう。
1.炭水化物、糖質
最も一般的な原因は、でんぷん質の炭水化物、パンやシリアル、多くの小麦粉製品と砂糖、そして砂糖を含んでいる食物です。また乳糖を含んでいる食べ物も問題になります。これらの食品を摂り過ぎていると腸内ガスの原因となります。 たとえば、イモや豆などの炭水化物が腸内細菌によって分解されると、二酸化炭素やメタンなどのガスが発生します。 ちなみにこれは発酵型のガスでさほど匂いません。
2.空気をのみこむ
冒頭で述べましたが、その他の一般的な腸内ガスの原因は空気を飲み込むことです。 これは飲み物を飲むときや食べ物を食べるときに発生する問題ですが、特に水を一度に大量に飲む傾向がある人は注意してくださいね。 できればゆっくり飲むことを心がけ、空気を一緒に飲み込まないようにしましょう。 頭の傾きにも注意してみましょう。頭を後方へ傾かせて飲むことをやめると、空気を飲み込まずに済みます。
また急いで食事を食べる人にも空気が大量に入っていることが多いです。食べ物を噛む時は急がないことが重要です。ゆっくり噛んで食べれば、唾液と混ざって「ガス抜き」ができます。 一度空気を飲み込み、すぐにゲップとしてあがってこないなら、多くはおならになってしまうのです。
3.胃の機能障害
胃の機能障害は一般的な腸内ガスの原因になります。以前のblogでお話した低レベルの塩酸はまさに腸内ガスの原因です。
4.腸内細菌のバランス
大腸の機能が落ち、悪玉腸内細菌が多く腸管に住み着くことで、過剰なガスの原因となります。
その他にも チューインガム やその他の ソルビトール や 糖アルコール を含む食品で腸内ガスを促進する場合もあります。また一部の人ではフルーツジュースに含まれる フルクトースに過敏になっている場合は腸内ガスを起こすといえます。
また ストレス を感じたときに、ガスが溜まりやすくなることもあります。緊張によるストレスを感じると空気嚥下症といって、大量の空気を飲み込んでしまいがちです。 緊張やイライラから無意識のうちに空気を飲み込んでしまうのですね。
飲み込まれた空気は、ゲップを我慢して外に出さずにいると、腸に下がってガスになるのです。
またストレスは腸の働きや蠕動運動を妨げるので、さらにガスがたまりやすくなります。
現代人に多い腹部膨満
腹部膨満感の原因の 95% はガスと言われています。
また腸内ガスの原因については前述した通りですが、腸内でのガス発生の原因はほとんどが
バクテリア によるものと言えます。いわゆるバクテリアによって作られるメタンガスや二酸化炭素ですよね^^。
最近の方でとても多いのが、通常大腸に比べて細菌の少ない 小腸 において細菌が過剰増殖し、腹部膨満が起こるものです。 これは何らかの原因で腸の蠕動運動が損なわれ、腸の中を内容物が滞留することによってバクテリアが過剰増殖してしまうことによります。蠕動運動には食べ物を送る以外にも、腸の中を掃除するような役割を持っているので、当然と言えば当然ですね。
さて、その小腸の過剰に増殖するバクテリアによる 発酵ガス(Small Intestine Bacteria Overgrowth)ですが、その原因をあげていきましょう。
【原因1 レクチンによる腸の粘膜の炎症】
レクチンはあらゆる植物が持っている物質で、身体の中の細胞の糖タンパクとくっ付き、細胞に影響を与えるものです。腸の粘膜にもたくさんの糖鎖がついた細胞がたくさんあるので、レクチンがくっついてアレルギー反応が起こると至るところで、炎症が起こり、腹部膨満感の原因になります。 血液型によっても反応しやすいレクチンがあり、遺伝子組み換え食品によってアレルギーが起こりやすいのもこのレクチンに原因があります。
【原因2 グルテンとカゼインなどによる腸の絨毛萎縮】
小麦などに含まれるグルテンというタンパク質や牛乳の中のカゼインというタンパク質は、問題を起こしやすいタンパク質と言えます。 これらに対して過敏症を持っている方は、摂取すると腸の炎症が起こり、小腸の絨毛が萎縮してしまうことで栄養吸収障害を起こします。 またもちろん腹部膨満感の原因になります。
【原因3 ラクトース不耐症】
いわゆる乳糖不耐症です。これは乳糖(ラクトース)を分解するラクターゼが小腸にないから起こるものですが、腹部膨満の一般的な原因の1つになります。黒人や黄色人種の60〜70%程の人がラクトースをうまく分解できず、問題を起こしやすいと言えます。 また症状の重い人では、ヨーグルトでも問題を起こす方がいます(ヨーグルトでは70%のラクトースが分解されますが、30%は残る)。
いかがでしたか?
腹部膨満は、一般の人にとってもですが、特に高齢者の場合は問題になります。 それが、腸という臓器が身体全体に影響を及ぼすことはもとより、免疫に深く関わっているからです。 およそ免疫細胞の60% が腸に存在するとも言われ、腹部膨満をほおっておくことが、身体全体の免疫低下にもつながります。 腹部膨満がある場合は、早めにその原因を見つけ、改善してあげることがとても大切ですね^^。
改善のポイントとしては・・・
1.食物アレルギー・不耐症はあるか?
2.砂糖・精製された炭水化物の摂り過ぎ?
3.胃酸が十分に分泌出来ているか?
4.腸内細菌アンバランス、バクテリア繁殖?
ここら辺を確認すると良いと思います。 詳しくお知りになりたい方は、当院にお問い合わせくださいね。
近年では「腸管―脳」の考えが発展してきました。腸全体の健康が免役に及ぼす影響もさることながら、今では脳に対しても重要な影響を与えていると考えられているのです。 大腸の働きは、健康全般的に重要な役割があります。
是非腸の大切さをもう一度考え、そして腸の機能低下のスタートに起こりやすい「腹部膨満」を見逃さないでくださいね。
小菅 一憲
カイロプラティカ麻布十番|副腎疲労専門カイロプラクティック