今月のテーマは 低血糖症。

低血糖症と聞くと、普通の方は血糖値が低いのだから糖分が不足している、甘いものをとれば治るのでは?と考えますよね。 しかし、その裏にはそんなに安易ではない問題があるのです。

低血糖とは!?

低血糖と言うのは、文字通り、血糖値が低くなってしまう状態 です。

お医者さんで低血糖と言うと、糖尿病の患者さんがインスリンを多く打ちすぎたり、その他の病気でしか起こらないという認識ですが、実は・・・そうではない理由でも低血糖状態と言うのは頻繁に起きるのです。 この場合の低血糖症というのは、糖からエネルギーを作るという重要な機能がうまく働かなくなってしまったという状態のことをいいます。 そしてこの状態を「機能性低血糖症」と呼んでいます。

現代では、知らず知らずにこの機能性低血糖症になっている人がたくさんいます。

しかも自分の日々のダルさや頭痛が血糖の問題からくるなんて誰も想像しませんよね。そして鬱などの精神的なことにもかなり深く関わっています。

そんな現代社会に多い「低血糖症」。 解明していきましょう!

血糖値とは!?

みなさんもうご存知ですよね。 私たちの血液の中に含まれている「グルコース(ブドウ糖)」という糖分の濃度のことです。

さてこれらの症状・・・

いつも疲労感がある だるい うつ症状がある 不眠 不安感 いらいらする 怒りっぽい 頭痛 めまい 発汗 震え 動悸がする 筋肉痛と腰痛 拒食症 食欲不振 発作的に泣く 恐怖症 集中力の低下 感覚麻痺 慢性消化不良 精神錯乱 手や足が冷たい 目のかすみ 筋肉の引きつりまたはけいれん 筋肉痛 非社会的あるいは反社会的行動 落ち着けない 肥満 ふらふらする 腹部のけいれん 失神あるいは意識消失 ひきつけ 自殺傾向 やる気が起きない ふわふわした感じがある

Etc・・・

何から起こると思いますか? 実は、これらは「血糖値のコントロールがうまくいかない」ことによって起こりうる症状なのです。 そして低血糖症の症状がまさにコレ!です。

もちろん、これらの症状全てが低血糖症によって起こると言うわけではありません。 しかし、病院では原因不明や精神疾患と診断されがちなこれらの症状、実は低血糖症だったというケースがかなり多いのです。

血糖値と生体恒常性(ホメオスターシス)

さて、ではまず、血糖とはなんのためにあるのか、血糖値が身体の中でどのようにコントロールされているのか見ていきましょう。

血糖(血液中のグルコース)は、私たち人間が生きていくためにもっとも利用しやすいエネルギー源です。 私たちが生きていくには、エネルギーが必要です。呼吸をするにも、心臓が鼓動を打つためにも、眠っているときでさえも、私たちはエネルギーを消費しています。細胞ひとつひとつがただ存在するというためだけにも、エネルギーは必要です。 私たちの生命を維持するためには、エネルギーはなくてはならないものなのです。

たとえ身体を動かさなくても、私たちの「頭の中」での活動にも、エネルギーは使われます。

とくに脳はエネルギーを多くつかう臓器として知られています。なにかを感じたり、考えたり、しゃべったり、笑ったりするにも、脳はエネルギーを消費しているのです。

さてではこのエネルギーはどこからくるのでしょうか?

私たちの人間にとってのエネルギー源は、食べものに含まれるいわゆる

「三大栄養素」

つまり炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質です。

私たちは、これら三大栄養素を分解したものを、細胞内の「ミトコンドリア」というエネルギー産生工場にほうりこんで、酸素と混ぜ合わせて燃やすことでエネルギーを得ています。 私たちの身体は、食べ物を食べると、吸収しやすいようにさらに細かい物質に分解していきます。

これが 消化 ですが、これら栄養素が消化、分解、吸収されると、グルコース、遊離脂肪酸、アミノ酸などの物質になります。 これらが全身のひとつひとつの細胞の中にとりこまれ、エネルギーとして利用されます。

人間は必要に応じてこれらのエネルギー源を使い分けて、エネルギーを得ています。

このように人間はグルコース以外にも脂肪酸、アミノ酸、ケトン体などのエネルギーを使うことができますが、血液中で最初に使われるのはグルコースなのです。

特に脳が普段使うエネルギーのメインは

「グルコース」!

(たまに脂肪から作られるケトン体も使っています)。

脳以外の身体の組織でも、「グルコース」は1番手っとりばやく使えるエネルギー源と言えますね。

こういったことから、私たちの身体は、つねに血糖値が安定していることを望んでいるのです。

血糖値が安定していると、エネルギーがスムーズに作られ、頭もよく働き、体調も良いと言えます^^。

特に脳はグルコースを蓄えることが出来ず、40秒 で消費してしまうので、脳のためには血糖値を安定した状態で保っておく必要があるわけです。 このため血糖値はつねに一定の範囲内(80~100mg/dl)になるように、綿密な調節が行われています。

ちょっと話は変わりますが、私たちの身体は、体の中のいろいろな条件を常に同じ状態に保とうとしています。 たとえば、夏の暑いときは汗をかいて熱を発散し、体温が上がりすぎないようにしていますし、冬の寒い時はブルブル震えて熱を産生し、体温が下がりすぎないようにして、1年中ほぼ同じ体温を保っているのです。 体温が高すぎても低すぎても人間は死んでしまいますから、生きていくためにちょうどいい温度をつねに維持しようとしているわけです。

このような体のはたらきのことを「生体恒常性(ホメオスターシス)」

といいます。

この働きは、体温だけでなく、血圧や心拍数、発汗量や尿量、血液中のいろんな物質の濃度など、ありあらゆるものごとの調節が、ホメオスターシスによって行われています。

ホメオスターシスのおかげで、私たちは生きていくことができるのです。

つまり、ホメオスターシスとは、とても大切な「生命維持装置」なのです。

そして「健康である」ということは、「ホメオスターシスが滞りなく正常に働いていること」でもあります。

このように、私たちの身体には数えきれないほど多くのホメオスターシスが働いていますが、中でももっとも厳重にコントロールされているものが、血糖値 なのです! 血液中のグルコースは、私たちが生きていく上でとても大切なエネルギー源であるため、空腹時で

80~100mg/dl というとてもせまい範囲の中に保たれています。 食後では30~60分で120~140mg/dlくらいまで上昇しますが、1~3時間後にはまた空腹時のレベルにもどります。

またこのように大切な血糖値をいつも安定した状態にしておくために、身体の中では多くの臓器が関係して、綿密な血糖のコントロールが行われているのです。

しかし、さまざまな理由から、この大切な血糖値が安定しない、不安定になってしまう、という状況が引き起こされる場合があります。 この血糖値の変動、またはそれによるホルモンの失調などが原因でいろんな症状が起きますが、その一つが「機能性低血糖」というものなのです。 次回はもっと詳しく「低血糖症」についてお話していきましょう^^。

小菅 一憲

カイロプラティカ麻布十番|副腎疲労専門カイロプラクティック

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