低血糖症 とは、血糖値が下がることによって起きてしまう病気です。
糖分が足りないから、血糖値が下がってしまう、それなら糖分を増やせば良いのでは?と思ったりしていませんか?
でも、人間の身体はそんなに単純なものではないのですね。
低血糖を引き起こす食べ物
血糖値を一定のレベルに保つために、多くの臓器が ホルモン や 神経 などのネットワークを駆使して働いています。それらの中で一番直接的なはたらきをするのが、普段はあまり目立ちませんが、じつはとても重要な多くのホルモンたちです。
血糖値が下がったときには上げるホルモンが分泌され、上がったときには下げるホルモン(インスリン)が分泌されます。シーソーのようなものだと思えばわかりやすいでしょう。
その中でも特に重要な役目を担っているのは、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンです。
インスリンが出ない、または効きが悪くなってしまうのが、糖尿病 でした。
糖尿病とは、血糖値が高くなることにより、全身の毛細血管が障害をうけ、網膜症や腎障害、神経障害などを起こす病気であり、予備軍まで含めると日本全国に 1600万人 もの患者さんがいるといわれています。この糖尿病の患者数の増加が、日本でも大きな問題になっています。
低血糖症の場合、この逆で、インスリンが出過ぎるまたは効きが良すぎるために、血糖値が急激に低下したり、低い状態でとどまってしまうという状態。 低血糖症と糖尿病は、一見まったく正反対の病気にみえますが、「血糖値のコントロールがうまくいかなくなる」という意味では、実は同じカテゴリーの中に入る病気でもあります。
冒頭で、
「糖分が足りないのなら、また糖分を摂れば良いのでは?」
と思った方。
実は、大量にインスリンを分泌するような食べ物(糖質)を摂る生活習慣を続けていると、だんだんとインスリンの感受性が落ちたり、身体にとってインスリン大量分泌が癖になってしまいます。
そうすると血糖値の乱高下が激しくなってくるのです。この時に起こる様々な精神症状や自律神経失調症状が「低血糖症」と言うわけですが、この状態は明らかに血糖値のコントロールがうまくいかなくなった状態ですよね。
糖分が足りないからといって、吸収が良い「甘いもの」を摂ればまた悪循環を招きます。 一番良い解決策は、血糖値を 緩やかに上昇させる食べ物 を選び、血糖値を安定させることなのです。その場合、大抵「甘いもの」より、「甘くないもの」を摂るというのが正解になります^^。
低血糖症は、一般的な医師にはほとんど知られていないという理由がここにあります。
なぜかと言うと、低血糖は糖分が足りないという単純な考え方では理解できない、逆説的な原因で起こっているからなのですね。
低血糖症の怖いのが、ずっとその生活(インスリン大量分泌の食生活)を続けるとそのうちに 膵臓が
疲弊 しきってしまう時が訪れるということです。その場合、膵臓は、ついにインスリンを出すことすらできなくなってしまうのです。
これが、まさに「糖尿病」ですよね。
さて、今日は、インスリンをたくさん出す原因となっている食べ物(低血糖症を引き起こす食べ物)について、じっくり話していきましょう。
みなさん、こんなものが好きだったりしませんか?
ケーキ チョコレート クッキー ジュース スポーツドリンク プリン ゼリー アイスクリーム 缶コーヒー(無糖のもの以外) 菓子パン ドーナツなど ふわふわした白いパン カップ麺 ポテトチップス スナック菓子 砂糖やブドウ糖果糖液糖が入った加工食品 白米大盛りの丼 おにぎりのみ サンドイッチのみ
これらはすべて 低血糖症を起こしやすい食品 であり、食事の内容です。 思い当たる人は多いのではないでしょうか?
ご存じのように、これらの甘い食べ物や飲み物、スナック菓子やサンドイッチや菓子パン、白米、白パンなどは、おもに 糖質(炭水化物)でできています。 これらの食品に共通しているのは精製されていること、つまり口に入る前からすでにかなり分解された細かい状態になっているということです。 ということは消化に時間がかからないので、糖分が吸収されるのがとても速いのです。
このような 単純な糖質 でできている食べ物を多く食べることが、低血糖症になる大きな原因のひとつになっています 米や小麦など糖分は複合糖質(でんぷん)であり、単糖類(ブドウ糖など)や二糖類(ショ糖など)にくらべれば分子が大きいので、吸収がゆっくりなのですが、白米や精製小麦粉のように精製した場合、低血糖症の原因となります。
GI値と血糖値を上げやすい食べ方
様々な糖類と炭水化物は、身体の中で異なる反応を起こすと言われています。 摂取した糖質が血流に達する時間は、摂取した炭水化物の種類、摂取の速さと頻度により異なるのです。
一種類の食べ物の摂取後に起こる血糖値上昇の速さを、血中グルコース指数(Glycemic Index)と呼んでいますが、グルコースやスクロース、フルクトースなどの単糖類は、腸壁から素早く吸収され、血中のインスリン値を急激に上昇させるのに比べ、逆にでんぷん、米、イモなどの多糖類は吸収が遅く、血糖値と血中インスリンの上昇が比較的遅いと言われていますが、それは食べ物の 種類 によっても違い、また 精製度合い 、その他どんな食べ物と 組み合わせ て取るかなどでも変わってきます。
特に糖類を一種類の食物として摂取した場合などでは、そのことが常に正しいとは限らないのです。
お米は比較的この中でも血糖値の緩やかな反応を示しますが、白米になると急上昇しますし、ジャガイモなどは純粋なグルコース摂取時と同様の血糖値の上昇を示します。
また一般的にはリンゴに対して、すりつぶしたリンゴ、穀物に対して白米などのように、咀嚼をあまり必要としない食べ物ほどグルコース反応が早くみられます。
逆に豆類だけを摂取する場合は、類似する穀類の半分くらいの上昇です。 そしてもちろん精製されてない穀物は、精製されたものに対して血糖値の上昇が緩やかで、さらには精製されたものに欠けているビタミン、ミネラル、食物繊維を含んでいることも忘れてはいけない点ですよね。
こう見ていくと、おもしろいものではないですか?
食べ物の形、調理法、精製具合で血糖値の上昇が全く違うのです。
O’Deaという臨床家は、食べ物による血糖値への効果を評価する場合、GI値以外に考慮しなければならない点を指摘しています。
要するにGI値とは、被検者がジャガイモなどの特定の食物を摂取した状態を測定して出している数値です。しかし、通常私たちが食べ物を摂取する場合、一種類の食べ物だけを摂取することは稀で、多種類の食べ物を同時に摂取することが多いですよね。
たしかにこの場合の血糖値の上昇は変わってきます。
炭水化物 と 脂質 を同時に摂ることで、胃内容物の排出が遅れ、血中グルコース反応も緩やかになります。また先に 食物繊維 を摂ったあとに、炭水化物を摂った場合も同じく消化がゆっくりになり反応も穏やか。ただ、炭水化物と脂質を同時の場合は、インスリン反応の減少が起こらないこともありますが・・・。
これらのことは、血糖値のコントロールに関わる食べ方としてまたご紹介していきますが、みなさんに覚えておいて頂きたいのは、血糖値を上げやすい(インスリンをたくさん分泌しやすい)食べ物以外に、食べ方によっても血糖値の上昇具合、インスリンの出具合が変わってくるということなのです。
小菅 一憲
カイロプラティカ麻布十番|副腎疲労専門カイロプラクティック