前回のblogでは、人間が生きていくためには 水 と 酸素 が必須だというお話をしました。

そして、人は絶えず、動いてない時も燃料を燃焼しながら生きている動物でしたね。

燃焼に必要な燃料自体は、人間が食品として口から摂取するわけですが、「食べ物を食べる」

これこそが、まさに生命活動そのものなのです。口から食物を摂取し、胃酸の洗礼を受け、小腸で細かく分解された食べ物の分子が身体の中に吸収されると、血液によって各細胞に運搬されていきます。

グルコースという燃料

これらの燃料は、細胞や肝臓に蓄えられるので、酸素程の緊急性はありませんが、常に補給を必要としています。そして食物から分解された化学成分で特に重要なものは、グルコース(ブドウ糖)と

脂肪 です。

脂肪は燃えると大量の熱(エネルギー)を発生しますが、その運搬や燃焼には特別な代謝を行う必要があるので、燃えにくいと言えます。逆に、グルコースは水に良く溶けるという性質から、血液による運搬が簡単で、細胞内でも容易に燃焼するので、人間にとって一番使われる栄養と言えます。

人間の身体を構成する細胞の多くは、グルコースと脂肪の両方を燃料とすることが出来ます。

しかし、脳は特別で、グルコースが唯一の燃料と言われています。

実際は、脂肪から作り出すようなケトン体を使うことが出来ると言われますが、脳や赤血球、そして中枢神経においては、エネルギー源としてグルコース(ブドウ糖)が一番使われる栄養です。

成人の脳は、性別、身長、体重に関係なく、ほぼ同じ量のグルコースを燃焼します。

その量は1日あたり・・・

約90g(0.5mol)

です。

そして脳における燃焼は、活動、休止に関係なく、昼から夜までほぼ一定の速さで行われ、1時間あたりの燃焼量は約4gとなります。 脳以外でも赤血球などでも、グルコースを唯一の栄養としており、その消費量は一日あたり約45gで1時間あたり約2g、脳の半量を消費していることになります。

特に脳と赤血球でのグルコース消費量は人間が生きていくために絶対に必要となるものだと言えますね^^。

もちろん脳や赤血球以外でも、グルコースは使われます。 他の内臓器でも使われますし、筋肉 でも大量にグルコースを消費します。 内臓器は基本的にほぼ同じ速さで燃料を燃焼しますが(心臓は例外)、筋肉は安静時にはほとんど燃焼せず、運動している時に燃焼が極端に増大します。 運動によって呼吸量があがるのは、燃焼による酸素の必要性が増すからですね^^。 また熱を発するのも燃焼をたくさんするからです。

グルコースの貯蔵

人間は、食事で炭水化物、いわゆるデンプン質の物を摂取すると、デンプンは消化の過程を経てグルコースに分解され、血液中を運ばれます。食後、血液内のグルコース濃度(いわゆる血糖値)が上昇すると、グルコースは 肝臓 と 筋肉 に吸収され、そこでデンプンと良く似た グリコーゲン に合成されて、貯蔵されます。

筋肉のグリコーゲンは、もちろん運動する時の燃料として使われますね。 筋肉のグリコーゲン貯蔵能力は、単位重量あたりでは肝臓の 約1/4程度 ですが、身体中に存在し、総重量が大きいため、一般に総量は肝臓の数倍になります。 しかし、消費は速いので、激しい運動をするときには 数十分、軽い運動でも1〜2時間 程度で枯渇してしまうと言われています。

一方、肝臓は 約50〜60g のグリコーゲンを貯蔵することが出来ます。 この量はお茶碗一杯分のご飯ぐらいで、絶対必要量の半日分にも満たない量なのです。ただ、これが血液中のグルコース濃度を保つには大切なものになります。

血液中のグルコース濃度は、一定に保たれています(1dlあたり約100mg)。

基本的には、食事でこの血糖値が上昇すると、肝臓の細胞は血液中からグルコースを取り込み、グリコーゲンを合成して貯蔵します。

そして逆に下がると、肝臓はグリコーゲンを分解してグルコースを血中に放出し、血糖値を保つ

役割をしています。 しかし、肝臓の貯蓄には限界があるので、食後数時間経つと血糖値が低下し、空腹感を覚えるということになるのです。

良く出来た仕組みですよね^^。

ちなみに安静にしている時で、グルコースの必要量とグリコーゲンの貯蓄なども考慮すると、約10時間 は保つ力がありますが、人は常に活動しているものです。 筋肉も適度に動かし、関節も使うからこそ、人は心身ともに健康でいられるのですから。

そう考えると、1日3食の食事 を摂ることは必然の流れとも言えますよね。 健康な人は、昼間活動することによって肝臓のグリコーゲンを1日3回は入れ替えています。

こうやって人は、食事をしてエネルギーの燃料を身体に取り入れ、すぐに使わない燃料は 肝臓に貯蓄をしています。そして、その貯蓄すらもなくなってしまうと、お腹が空くというわけです。 お腹が空いて、ご飯を食べて、活動するという流れは、まさに人が健康である証拠です^^。

ちなみにスポーツなどを行う時は、前述の時より消費が速いため、食後2〜3時間ではお腹が空いてくるようになります。そうなると3食の食事では足りませんよね。 また夕飯を食べてから就寝し、朝までの時間も大分長いので、その時の補給はどうなるのでしょうか。

グルコースの合成

通常の人が、一日昼間の活動時に5〜6時間の間隔で食事をするのは、平均的な筋肉の活動に必要なグルコースの消費速度に対応しています。 しかし、毎日毎日、人は同じように活動するわけではないので、活動の強度の大きさの変化はもちろんあります。また食事の時間帯がずれることもあるでしょう。

あまりに空腹になると、頭がふらふらしたり、頭痛がしたり、めまいや不快感が起こる場合もありますが、これはみなさんもご存知の通り「低血糖」の状態で、脳にグルコースが足りなくなり、脳の機能が低下するために起こります。 こういう時は甘いものが欲しくなりますよね。

しかし、通常の人であれば、空腹になったとしても、たとえ間食なしでも、簡単には「低血糖」に陥ることはありません。 ここが今日のお話の中心になりますが、これは、人がカラダにある物質を使って肝臓でグルコースを新しく合成するシステムがあるからなのです。

この グルコースを合成する能力(糖新生)は、肝臓の機能のうちでも最も重要な一つで、健康な人の持久力や耐久力のベースとなるものですね。

一般的に幼児は、この肝臓の糖新生の機能が未発達なので、1日3度の食事では不十分で、間食を行いながら血糖を維持しています。

しかし大人になってこの習慣が止められないと糖新生の能力が未発達になるだけでなく、糖質過剰による様々な問題、そして 肥満 などの生活習慣病につながる原因になります。

またもちろん寝ている時間、特に夕飯から朝食までの時間は8時間〜12時間ぐらいになりますが、この時には必ずと言って良いほど、肝臓における糖新生の機能が働き、朝に低血糖が起きないようにしているわけです^^。

肝臓と筋肉のグリコーゲン貯蔵量には限界があります。もし、ご飯をおかわりしたり、自分の貯蔵量をオーバーするぐらい余分に摂取するとどうなるでしょう。実は人の肝臓は貯蔵量が一杯になっても、さらにグルコースを摂取することができるのです。

これらの余ったグルコースは、肝臓で脂肪に変えられ、血液を介して 脂肪組織 に運搬されます。こうやって身体の脂肪としてグルコースは新たに貯蓄されるわけです。 脂肪組織の貯蓄量は大きく、健康な女性で体重の25%、男性で15% あります。また肥満の人だと30% にまで及びます。ここまでの貯蓄量があるため、肝臓の貯蔵量は数時間分であるのに比べ、脂肪組織は、数週間分の燃料を貯めることができると言われています。

1日3度の食事

お話してきたように、グルコースは脳や筋肉が働くためのエネルギー源 です。

そしてこのグルコースは肝臓でグリコーゲンとして貯蓄も出来ますし、脂肪に変換して身体の各場所で貯蓄することも可能でした。

筋肉の活動強度が大きくなると、食事で摂ったグルコースでは間に合わなくなり、また肝臓のグリコーゲン貯蔵量でもまかないきれないことも良くあります。 しかし、もちろん健康な人間であれば、脂肪を燃焼したり、肝臓でグルコースを合成することでこの不足を補うことができます。

この糖新生の能力は、グルコースの絶対必要量である 6g/時間 を十分に供給することが可能で、この能力は空腹時にある程度の活動をすることで増強することも出来ます。

こう考えていくと、日常的に短時間は空腹になって活動する時間を作った方が、健康維持には大切な場合もありますね。

もちろん低血糖症などの問題がある方は避けた方が良いですが・・・。

さて、逆にグルコースが常に補給されるような状況だとどうでしょう?

グルコースは身体にとっては一番使い勝手の良いエネルギー源ですが、これを常時補給することは必ずしも健康的なこととは言えません。 糖質の質や摂り方にもよりますが、糖分の量が多くなれば、血糖値の不安定 な状況も作り出すことは以前のblogでも何回もお話してきました。

またグルコースはアルデヒド基というのを持っていて、このアルデヒドは反応性が高く、濃度が上がると有害にもなります。正常な血糖値濃度を超えてしまうと、糖化反応 が起こり、タンパク質と糖が結びついて変性することもよく言われますね。

ちなみに、先程の糖を合成していく糖新生能力は、空腹時にある程度活動することで増強すると話しましたが、これまた空けすぎれば良いということでもありません。

糖新生では、主に筋肉のタンパク質を分解してアミノ酸 にしたものを原料にして糖を作り出します。このタンパク質はどこから持ってくるかと言うと私達の身体そのものです。 要は、自分の身体の一部を破壊しながら、身体を動かすエネルギーを作り出すわけです。 糖新生は便利で必要不可欠な能力ですが、もちろん肝臓には負担がかかりますし、その代謝過程では有害物質も生じます。 こう考えていくと、糖新生は大事ですが、常にこれに頼ることは良くないという話になります。

結論は・・・

グルコースを補給し過ぎても、補給しなさすぎてもダメということですね。

こういった意味では、やはり1日3食の食事 は、平均的な活動をする一般の人間にとっては合理的で最適な栄養摂取であると言えるのでしょう^^。 今日は長くなりましたが、とても大事な部分なのでお伝えしました。 長い文章読んで頂いてありがとうございました^^。

また次回をお楽しみに^^。

小菅 一憲

カイロプラティカ麻布十番|副腎疲労専門カイロプラクティック

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